
不法侵入の手口と対策(玄関ドア編)
玄関ドアや窓の鍵をしっかりかけても、不法侵入を完全に守ることはできません。
しかし、鍵かけなどの対策をしておけば、侵入までの時間がかかるので、空き巣や強盗も諦めやすいとの統計資料もあります。
ここでは、主な侵入の手口と、今からできる対策をご紹介します。
ピッキング
ピッキングとは、玄関ドアの鍵穴に特殊な器具を使用して鍵を開ける手口です。手慣れた窃盗犯なら、1分もかからずにロックを解除して犯行に及ぶことも。
ピッキングの恐ろしい点は、練習次第で初心者でも簡単に開錠できること。しかも、その方法は雑誌やインターネットで公開されていたりなど、特別なものではありません。
ピッキングの対策
ピッキング対策は、耐ピッキングシリンダー錠(鍵穴部分のこと)に交換するのが主流です。そのうえで、鍵を2つ以上つけましょう。すると、鍵を開けるために必要な時間がグンと伸びますので、空き巣や強盗が諦める確率もグンと上がります。
賃貸アパートや賃貸マンションにお住まいなら、大家さんにお願いして鍵穴を変更・増設することになります。しかし、費用は自分持ちで、退去(退室)するときも原状復帰の費用を負担しなければならないことが多いようです。
ピッキングの現在
今では、ピッキングに代わり新しい侵入手口が編みだされています。そのため、平成12年をピークにピッキングによる被害の割合は減っていますが、それでもまだまだ被害は続いています。
玄関ドアメーカーでは、ピッキングに強い鍵を最初から複数取り付けするようになりましたが、それだけではピッキングを完全に防ぐことはできません。あくまでも、ピッキングまでの時間がかかる鍵穴ですから、自分で他に対策を練る必要があります。
なお、マルティロック・カバスターなどのメーカーが作ったシリンダーなら、ピッキングによる解錠は不可能とされています。
サムターン回し
サムターンとは、玄関ドア内側にある鍵を開け閉めするツマミのこと。90度にひねって鍵を開け閉めする、あのツマミです。
サムターン回しは、施錠されている玄関ドアの外側から、ドア内側のサムターンを直接回して鍵を開けてしまう方法です。
サムターン回しの対策
ピッキング対策をしたシリンダー錠を取りつけていても、サムターン回しの前では無意味。どんな錠でも簡単に開けられます。空き巣や強盗は、玄関ドアの新聞受けの隙間やドアスコープ(のぞき穴)から工具を入れて、サムターンを回します。穴が無くても、ドアに穴を開けたり、玄関ドアのガラスを割ってサムターンを回し、侵入する場合もあります。
そのため、サムターン回しを防ぐためにサムターンカバーが一時期流行りましたが、カバーを外されることもあり完璧とは言えませんでした。
今では、取り外し可能なサムターンや、室内からキーで開け閉めする玄関ドアもあります。これなら、サムターンを直接回すことができません。
こういったシリンダー錠を2個以上設置(工賃除きで1個3,000円くらいから)しておくと、安全度がアップします。
カム送り(バイパス解錠)
カム送りは、特殊な工具を利用して、シリンダー錠を引っ張り上げてできた隙間から道具を突っ込んで解錠する方法です。
犯行に及んでも、鍵穴や扉などに痕跡を残さないので、空き巣被害に気付かなかったり「鍵の閉め忘れかな?」と勘違いすることもある手口です。
外に異常がないのに「なんか部屋がおかしいな」と思ったら、カム送りによる侵入かもしれません。
カム送りの対策
カム送りは、鍵穴から解錠するピッキングや玄関ドア内側のサムターンを操作するサムターン回しとは違って、鍵の内部を直接いじって開ける方法。つまり、ピッキング対策やサムターン回し対策では、カム送りは防げません。
カム送りを防ぐためには、シリンダー錠を引っ張り上げても隙間ができない、専用のスペーサーを付けることになります。
もちろん、最初からカム送りに対応したシリンダー錠を取りつけた玄関ドアもあります。
バールによるこじ開け
まず防ぐことができない侵入方法が、バールによるこじ開け。バール(鉄製の棒)を利用してドアを壊し、強引に鍵を開ける、もっとも手荒な手口のひとつです。
玄関ドアには、必ずと言っていいほど隙間がありますね。そこにバールを差し込み、てこの原理で力任せにこじ開けます。
バールによるこじ開けの対策
最近の玄関ドアは、ピッキング・サムターン回し・カム送り対策などしっかりと防犯対策がされているので安心かと思ったら、そうでもありません。「それなら、力任せに開けてしまえ」とバールによる侵入被害の件数が増えています。これをされたら、ピッキング・サムターン回し・カム送り対策は意味がありません。
そこで、使いたいのが「デジタルロックキー」。パスワードを設定して施錠・解錠するもので、何度も間違えたり強い衝撃などを感知すると強力な鉄の棒でドアをガッチリ守ります。
もちろん、完璧に防犯できるわけではありませんが、侵入までの時間稼ぎとして十分役立ちます。侵入盗の70%は解錠に5分以上かかると諦め、10分以上で90%が断念するとされているので、10分以内に侵入するのは至難の業。
ただし、デジタルロックキーは便利ですが、パスワードを忘れると家に入れず再設定したり、電池が必要なキーもあるなど少し面倒な点はあります。